晴天の神々しい景色

完全インドアだった私が、山登りの楽しみを知ったのは、2019年、43歳の夏でした。

「社会性不安症」の療養が終わり、社会復帰に向け、新たな仕事の準備を始めた春先のことでした。以前、温泉旅行ついでに登った『乗鞍岳』へ、誘われたことが始まりです。

昔、初めて乗鞍に訪れた季節は、7月初旬。日帰りで行ける場所だと、大した装備もせず、気楽に向かったところ、『剣ヶ峰』には雪もあり、寒くてしんどくて、その時は天候もあまり良くなく、期待した絶景はおろか、下山時、滑り降りて怖かった印象の場所でした・・。来るんじゃなかったと、当時は誘いを恨んでいた私。

今回、療養期間を取り戻すかのように、行動意欲が働いたことに加え、旅行予定は8月上旬。雪もないだろうし、『畳平』の高山植物も綺麗かな、と思ったことや、初めての山小屋泊に興味を感じ、行くことにしました。

日頃から運動不足のため、今回は事前に低山の練習も行おうと、いろいろ山の本を見ていたときに、その後私の『バイブル』となる、可愛い山ガールの解説本と出会いました。山の自然の魅力はもちろん、山小屋の楽しさ、服装や持ち物の紹介は、形から入りたがる私には、とってもおしゃれで、ワクワクするものばかりでした。

「山を登る」よりも、いつのまにか、「山グッズをそろえる」が目的になっていく、不純な私・・。でも、そのワクワク感は、随分長い間、感じていなかった高揚感でした。

7月に、練習を兼ねて、滋賀県の『蓬莱山』へ。小雨の中でしたが、新しいトレッキングシューズやシャツ・山スカート・帽子のいで立ちにウキウキして、以前の私では考えられないほど、意外にも楽しく登れました。

8月、いよいよ山デビュー。このときは天候も良く、荷物を山小屋『白雲荘』に置いて、早速畳平の散策へ。コマクサやチングルマ、クロユリと、楽しみにしていた数々の花に、とっても感激。ぐるっと半周すぎた頃、前方に人だかり。立派なカメラたちが向く方向を、よ~く見ると・・。なんと、岩陰から雷鳥が!!ひょこひょこと歩く姿は、遠目でしたが、愛くるしくて、これまた感激!

山小屋にチェックイン後、すぐにお風呂へ。標高2700mの山小屋とは思えないほど、清潔な木の浴層のお風呂にこれまたびっくり。早めだったからか、人も少なく、途中からは貸し切り状態で、ゆっくり浸からせていただきました。夕食では、同席に60代のご夫婦がご一緒でした。昔は山岳部であちこち登られたお二人。今はおばあちゃんの介護をされており、今回、10年ぶりに山に来られたとのお話に、山グッズで浮足立つ私は、ちょっと恥ずかしい気持ちを感じました。でも、「山はいいですよ。ここは気軽に来れるので、こんな歳でも本当にありがたい。お若いので、まだまだこれから、山を楽しんでくださいね」と言葉をくださり、山の魅力を教わりました。

雲海からの日の出

翌日早朝、雲海から昇る日の出の美しさに、「ああ、来てよかった!」と心から思いました。

美味しい朝食後、天気に恵まれた中、『剣ヶ峰』へ。
青い空を頭上に、緑の山並みを眼下に、登っていく石や砂利の道。日常にはない景色に合わせ、軽快な足取りの自分にも、驚きと感動を覚えながら、3026mに登頂。

素晴らしい景色

自分の中に広がるものは、清々しさと、広大な自然への厳かな気持ち、そしてちょっぴり、自分への称賛。

決して、ものすごい苦労をして登った場所ではありませんが、宇宙に近い場所に来たと感じるくらい、満足感のある登頂でした。

公道脇にクマ出現に驚愕

さらに小話、もうひとつ。帰りのシャトルバスに乗っていると、突然停車。ざわつく車内に、「左手に、こぐまがいます」のアナウンス。ちょうど窓から見ていると、道のすぐ脇にある笹の群生の中に、黒いこぐまの姿!!

 

この旅は、野生の雷鳥に、クマまで見れた、希少なアニマルツアーでもありました(笑)

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