立ち止まった秋

派遣の私
仕事に 多くなんか 求めてなかった
上司が言う
❝やりがい❝ とか
❝責任❝ とか
❝チームワーク❝ とか
『めんどくさい・・』と
心のどこかで 思ってた

残業なくて
休暇もらえて
好きな服や 旅行行ける
そんな程度の お金があれば
べつに 不満はなかった

夏から 仕事が なくなった

不満のない程度の お金が なくなった
毎日が 休みになった
次を探すつもりだったのに
いつのまにか
どうすればいいか わからなくなった
だんだん どうでもよくなってきた
実家に 帰ろうかな

季節が 秋になり
今年買った夏服を 片付けていると
思い出した
いつもめんどくさい上司が
帰りがけ
「今日は急ぎの資料準備、ありがとな!ほんとに助かったよ!」
珍しく 声をかけてくれたこと
仕事のことなんか 思い出すこともなかったのに

揺られる通勤電車の場面も 浮かびだした
『賑やかな女子高生 くたびれた上着のサラリーマン』
受け持っている お客様の名前が浮かびだした
『いつもの担当の方 どうしているのかな』
隣の席の パートのおばさんの声も浮かびだした
『こっちのセット、一緒に郵送しておこうか』
向かいの若手社員の笑顔も 浮かびだした
『皆さんに手伝っていただき、アポ取れました!』
めんどくさい上司の ミーティングの言葉が聞こえてきた
『何のために働くのか ひとりひとりの意欲が チームの結果になり お客様の感謝につながる』

私 働いてたんだな・・

片づけたヒールを
久しぶりに 磨いてみようかな

投稿者プロフィール

古坂禄子
古坂禄子くれたけ心理相談室(生駒支部)心理カウンセラー
今日もご覧いただきありがとうございました。
「わかる」「安心する」「和む」をテーマに、日々綴らせていただいております。今日も皆様の心に届き、お役立ていただけますように。
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