恥ずかしい心を見透かす紅葉のハナミズキ

通勤時間 駅までの道に
マンションの 修復工事現場

ヘルメットに作業着姿の人たち
腰には
ジャラっと 鈍い音を奏でる
重そうな たくさんの工具を 提げて
時々 乱暴ぎみに 叫ぶような
大きな声の 掛け合いが
通りに響く

足場のパイプが トラックで運ばれ
数人がかりで クレーンに取り付けていた
グッと 腕に見える筋と
クッと 瞬間にかむ唇に
その重みが こちらまで伝わってきた
わずか数日で 150世帯の建物は
ぐるっと 覆いで包まれた

近づくと 熱気が伝わってくる
緊張を感じる 風の中
目が合った瞬間
躊躇して とっさに飲み込んだ
挨拶の言葉

「おはようございます!!」

ハッキリとした 太い声の
でも スカッと 爽やかに 快い
その言葉に
ハッとさせられ
慌てて 挨拶の言葉を返す

「おはようございます、ご苦労様です」

裏返る声の高さに
自分でも驚きながら
恥ずかしくなり
いつもより 足早に駅に向かう

すれ違う人と 挨拶するなんて
いつぶりだろう

今日 いいことありそうかは
自分次第だな

季節外れの 温かい朝
空は 秋晴れ
街路樹の ハナミズキは
私の顔のように
赤く 染まっている

投稿者プロフィール

古坂禄子
古坂禄子くれたけ心理相談室(生駒支部)心理カウンセラー
今日もご覧いただきありがとうございました。
「わかる」「安心する」「和む」をテーマに、日々綴らせていただいております。今日も皆様の心に届き、お役立ていただけますように。
プロフィール詳細はこちら

コメントはお気軽にどうぞ